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日本で処方箋が必要な薬・必要ない薬 — 処方薬とOTC(市販薬)の完全ガイド

アメリカで処方薬が日本ではOTC?逆もある?薬剤師が在住・訪日外国人向けに、日本の薬局で買える薬・買えない薬・税関で持ち込めない薬まで一気に解説します。

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さくら(薬剤師・医療ライター)
公開日 2026-05-08

日本で処方箋が必要な薬・必要ない薬 — 処方薬とOTC(市販薬)の完全ガイド

「アメリカでは医師の処方箋が必要だった頭痛薬が、日本のドラッグストアの棚にそのまま並んでいる」

「逆に、海外ではスーパーのレジ前で買えていたアレルギー薬が、日本では薬局の奥のカウンターでしか売っていない」

「ADHDの薬を日本に持ってきたいけど、税関で止められると聞いた」

こんな経験や疑問はありませんか?

日本の医薬品制度は、海外と「似ているようで微妙に違う」のが厄介なポイントです。

この記事では、日本の薬剤師が、外国人読者向けに次の4つを整理します。

  1. 日本の医薬品分類の基本(処方薬/OTC/要指導医薬品/第1〜3類)
  2. 海外では処方薬だが、日本ではドラッグストアで買える薬
  3. 海外ではOTCだが、日本では処方箋が必要・流通が制限される薬
  4. 日本へ持ち込むときの税関ルール(Yakkan Shoumei)

「日本の薬局で何が買えて、何が買えないのか」を一気にクリアにしていきましょう。


⚠ 最初に:本記事は情報提供であり、医療判断ではありません

本記事は2026年5月時点の日本の制度・添付文書情報をもとに整理しています。

ただし、個別の症状・体質・併用薬・基礎疾患によって最適な薬は変わります。 最終的な服薬判断は、必ず医師または薬剤師に相談してください。記事末尾に免責文を添えています。


1. 日本の医薬品分類の基本

日本の薬は、大きく2つに分かれます。

分類 入手方法
医療用医薬品(処方薬) 医師の処方箋+調剤薬局 抗生物質、降圧薬、ADHD治療薬、ピル等
OTC医薬品(市販薬) ドラッグストア・薬局で購入可 鎮痛薬、風邪薬、胃腸薬、目薬等

OTC医薬品の中はさらに、販売できる人説明義務で4段階に分かれています。

OTC分類 販売できる人 説明義務
要指導医薬品 薬剤師のみ(対面) 必須・書面(電磁的方法含む) スイッチ直後・安全性確認期間中の成分等
第1類医薬品 薬剤師のみ 必須・書面 ロキソニンS、ガスター10、リアップ
第2類医薬品 薬剤師 or 登録販売者 努力義務 多くの風邪薬・鎮痛薬・花粉症薬
第3類医薬品 薬剤師 or 登録販売者 なし ビタミン剤、整腸剤、軽度の胃腸薬

→ 薬局・ドラッグストアの違いについては 日本の薬局の種類ガイド を参照してください。

外国人読者がよくつまずくのは、「ドラッグストアにいる白衣の人=薬剤師とは限らない」 という点です。第1類医薬品を買いたい時間帯に薬剤師が不在だと、その商品は買えません。


2. 海外では処方薬・日本ではOTCで買える薬

ここが「日本の薬局すごい」と驚かれるポイントです。

ロキソニンS(ロキソプロフェン60mg)— 第1類

NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の代表。米国FDAでは現在も処方薬扱いですが、日本では2011年にスイッチOTC化されました。

ドラッグストアで薬剤師から説明を受ければ、処方箋なしで購入できます。

→ 詳細は 今日紹介するのはロキソニンS

ガスター10(ファモチジン10mg)— 第1類

胃酸を抑えるH2ブロッカー。米国では Pepcid AC として低用量がOTCで売られていますが、日本でも同じく10mgがOTC(第1類)として流通しています。

胃痛・胸やけのときに、処方箋なしで買えます。

→ 詳細は 日本の胃腸薬ガイド

アレグラFX・クラリチンEX・アレジオン20

第2世代抗ヒスタミン薬のスイッチOTC。米国では同成分が処方薬を経てOTC化された経緯があり、日本でもほぼ同じ流れでOTC化されました。

ただし第2類医薬品なので、登録販売者からも買えます。

→ 詳細は 日本で買える花粉症薬

ボルタレンEX(ジクロフェナクナトリウム1%)— 第2類(外用)

経口のジクロフェナクは米国・英国でも処方薬扱いですが、外用ゲル・テープは日本ではOTC化されています。

→ 詳細は 日本の湿布・貼り薬ガイド


3. 日本では必ず処方箋が必要な薬

ここでは「国・地域によっては薬局で買えるが、日本では必ず病院に行かないといけない」薬を整理します。米国・英国・西欧の多くではすでに処方薬になっているものも含みますが、外国人読者は「自分の出身国ではOTCだった」というケースもあるため、日本で必ず処方が必要なものを再確認しておきましょう。

抗生物質(アモキシシリン、レボフロキサシン等)

喉の痛み・膀胱炎・歯科感染症などで、国や地域によっては薬局で買える場所もあります(特にアジア・東欧・中南米の一部など)。一方、日本では原則すべて処方薬です。

耐性菌の蔓延を防ぐための日本の医療政策により、登録販売者は販売できません。

強い睡眠薬・抗不安薬

ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(ソラナックス)などのベンゾジアゼピン系、ゾルピデム(マイスリー)などの非ベンゾジアゼピン系(Z-drug)はすべて処方薬です。

OTCで買える「ドリエル」(ジフェンヒドラミン)は鎮静系の抗ヒスタミン薬で、ベンゾジアゼピン系・Z-drug とはまったくの別物です。

ADHD治療薬(コンサータ、ビバンセ、ストラテラ等)

日本のADHD治療薬のうち、コンサータ(メチルフェニデート)とビバンセ(リスデキサンフェタミン)は「ADHD適正流通管理システム」に登録された医師・薬局・患者でしか流通しません。覚醒剤原料に該当するため、流通管理が特に厳格です。

一方、ストラテラ(アトモキセチン)は同システムの対象外で、向精神薬・覚醒剤原料にも該当しません。一般の処方薬として精神科・心療内科・小児科などで処方されます。

いずれの薬も、海外で同成分が処方されていても、日本国内で再処方を受けるには日本国内の医療機関を受診する必要があります。

経口避妊薬(低用量ピル)

英米では薬局でOTC化される動きがあり、日本でもOTC化に向けた議論は進んでいますが、現時点(2026年5月)では低用量ピルはすべて処方薬です。婦人科または一部のオンライン診療で処方されます。

緊急避妊薬(アフターピル/レボノルゲストレル)は2023年12月から、一部の研修修了薬剤師が常駐する薬局でのみ、面談のうえ販売される試験運用が始まりました。ただし全国どこでも買える状態ではなく、対応薬局は厚労省指定の限定リストです。

バイアグラ・シアリス・レビトラ等

すべて処方薬です。海外通販を装った無承認薬の流通が後を絶たないため、必ず医療機関で処方を受けてください。


4. 海外ではOTC・日本では制限がある薬

「海外で気軽に買っていた薬が、日本ではどこを探しても見つからない」パターンです。

アドビルPM(イブプロフェン+ジフェンヒドラミン)

米国では「夜用鎮痛薬」として OTC で流通していますが、日本では同じ配合のOTCはほぼ流通していません。

成分的に最も近づける組み合わせは、「イブA錠」(イブプロフェン)+「ドリエル」(ジフェンヒドラミン睡眠改善薬)をそれぞれ別々に購入する形です。

ただし、両方ともジフェンヒドラミン由来の眠気・抗コリン作用が重なる可能性があり、ふらつき・口渇・尿閉などのリスクが上がる場合があります。同時服用の可否は薬剤師に必ず相談してください。

ベナドリル(ジフェンヒドラミン高用量・アレルギー用途)

米国OTCの定番アレルギー薬ですが、日本ではジフェンヒドラミンの内服OTCの主流は「睡眠改善」用途(ドリエルなど)です。

アレルギー適応のジフェンヒドラミン内服OTCとしては「レスタミンコーワ錠」(第2類)があり、じんましん・湿疹・かゆみに使用されます。ただし眠気が強いため、第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ、クラリチン等)が第一選択として用いられることが多く、米国Benadrylのようにアレルギー用途で「日常的に飲む内服OTCの主流」ではありません。

花粉症・蕁麻疹であれば、まず第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ、クラリチン等)を選び、レスタミンコーワ錠は症状の強さや薬剤師の判断に応じて選択肢に入れる、というのが日本の標準的な使い方です。

コデイン入り咳止め

米国の Robitussin AC、Cheratussin AC など、コデインを含むシロップは米国でも処方薬または規制対象薬ですが、日本でもOTCのコデイン配合咳止めは2019年以降、12歳未満への販売・使用が原則禁止となりました。

12歳以上向けには現在もコデインリン酸塩配合のOTC咳止めがごく一部流通していますが、乱用対策としての販売制限・販売記録・購入個数制限などが段階的に強化されており、販売時に薬剤師の情報提供が必要な分類が中心です。米国Robitussin ACをそのまま日本で買うイメージは持たないでください。

→ 詳細は 日本の子ども向けOTC薬ガイド


5. 日本への持ち込み・税関ルール(Yakkan Shoumei)

ここが外国人読者にとって一番のリスクポイントです。基準を超えた持ち込みは、空港での没収や刑事手続きの対象になる可能性があります。

5-1. 自分用なら一定範囲は確認書なしで持ち込める

厚生労働省の規定では、自分自身の使用目的に限り、次の量までは**「医薬品等輸入確認書(Yakkan Shoumei/薬監証明)」なしで**持ち込めます。

種類 数量目安
毒薬・劇薬または処方箋医薬品(医療用医薬品の一部) 1ヶ月分以下
上記以外の医療用医薬品(一般の処方薬の多く) 2ヶ月分以下
一般用医薬品(OTC) 2ヶ月分以下
外用剤 1品目24個以内

これを超える場合や、注射薬・麻薬を含む場合は Yakkan Shoumei の取得が必要です。

5-2. 向精神薬は「種類と量」次第

向精神薬(ベンゾジアゼピン系、Z-drug、医療用麻薬の一部など)は、第1種・第2種・第3種ごとに自己使用の許容量が定められており、その範囲内であれば確認書なしで持ち込めるケースがあります。

ただし範囲は薬ごと・成分ごとに細かく規定されているため、実務的には「不安なら早めに薬監証明を申請する」のが安全です。申請は無料、メールベースで数日〜2週間で発行されます。

許容量を超えていた場合や申請を怠った場合、空港で止められて入国時に大きなトラブルになります。常用している処方薬がベンゾ系・Z-drug・コデイン高用量等にあたる場合は、渡航前に必ず厚労省サイトの最新ガイダンスで自分の薬を個別確認してください。

5-3. 持ち込み「禁止」の薬

日本に持ち込むこと自体が違法になる薬があります。海外で正規に処方されたものでも、税関で没収・刑事手続きの対象となる可能性があるため特に注意してください。

海外名 成分 日本での扱い
Adderall アンフェタミン 覚醒剤取締法で輸入禁止(医師処方でも不可)
Vyvanse リスデキサンフェタミン 同上、個人での持ち込み不可
Dexedrine デキストロアンフェタミン 同上、輸入禁止

これらはADHD治療目的であっても日本国内へは持ち込めません。Vyvanse(リスデキサンフェタミン)は成分自体が日本でも「ビバンセ」として承認されていますが、個人輸入は不可で、日本国内で再処方を受けるには日本のADHD適正流通管理システム登録医療機関を受診する必要があります。

米国でAdderallを処方されている方は、来日前に主治医と相談のうえ、来日後は日本の精神科・心療内科でコンサータ・ストラテラ・ビバンセ等への切替えを相談してください。

5-4. 大麻成分(CBD・THC)の扱い

2024年12月施行の改正大麻取締法により、日本国内で流通するCBD製品は THC残留量が厚労省の定める基準値以下である必要 があります。

海外製CBDのグミ・オイル・ベイプ等はTHC残留量を客観的に証明できないことが多く、所持・輸入が大麻取締法違反と判断されるリスクがあります。空港で頻繁にトラブルになっている類型なので、海外CBD製品の持ち込みは避けるのが安全です。


6. 薬局でのフレーズ集 — 「これは処方箋が必要ですか?」

ドラッグストアで迷ったときに使える日本語です。

聞きたいこと 日本語 ローマ字
これは処方箋が必要ですか? これは処方箋が必要ですか? Kore wa shohōsen ga hitsuyō desu ka?
同じ成分のOTCはありますか? 同じ成分の市販薬はありますか? Onaji seibun no shihan-yaku wa arimasu ka?
薬剤師さんを呼んでもらえますか? 薬剤師さんを呼んでもらえますか? Yakuzaishi-san o yonde moraemasu ka?
英語のできる薬剤師はいますか? 英語のできる薬剤師はいますか? Eigo no dekiru yakuzaishi wa imasu ka?

第1類医薬品(ロキソニンS、ガスター10など)を買うときは、必ず「薬剤師」を指名するのがコツです。 登録販売者(とうろくはんばいしゃ)では販売できません。


7. 処方薬が必要だったら:病院のかかり方

「これはOTCでは無理だ、病院に行くしかない」と分かったあとの動き方は、別記事にまとめています。

日本の病院のかかり方ガイド — 初診の持ち物・受付の流れ

夜間・休日で迷ったら:

日本で夜間に具合が悪くなったら #7119


まとめ:「日本で買えるか」を判断する3ステップ

最後に、シンプルな判断手順にまとめます。

  1. 症状の重さを見極める — 高熱が3日以上、激しい腹痛、息苦しさ等は病院へ
  2. OTCで対処可能なら、まず分類を確認 — 第1類は薬剤師のいる時間帯に行く
  3. 海外薬を持ち込むなら税関ルールを必ずチェック — Adderall系は持ち込み不可、向精神薬は種類と量に応じて Yakkan Shoumei を検討

この3ステップを覚えておけば、日本での薬選びで大きく踏み外すことはありません。

迷ったら、薬剤師に声をかけてください。日本の薬剤師は外国人対応に慣れている人も増えてきています。遠慮せず聞いてもらえれば、安全な選択をサポートします。


出典・参考資料

  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):医薬品添付文書情報
  • 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
  • 厚生労働省「一般用医薬品のリスク区分」
  • 関東信越厚生局「医薬品携帯輸入確認証(薬監証明)」発行案内
  • 在日米国大使館「Importing Medication into Japan」(2025年版)
  • U.S. FDA: Drugs@FDA Database
  • 日本ADHD適正流通管理システム公式サイト
  • 各製品の添付文書(ロキソニンS、ガスター10、アレグラFX、ドリエル等)

著者について

さくら:薬剤師・医療ライター。日本のOTC医薬品と外国人読者の医療情報ニーズを専門に執筆。


免責事項

本記事は情報提供のみを目的としたものであり、医学的・薬学的アドバイスを意図したものではありません。本記事に挙げた薬剤の分類・販売条件・税関ルールは2026年5月時点の情報であり、改正・変更される可能性があります。実際に薬を購入・使用・持ち込みされる前には、必ず最新の公的情報(PMDA、厚生労働省、税関、地方厚生局)をご確認ください。本記事の内容を参考に自己判断で行った服薬・治療・持ち込みについて、当ブログは一切の責任を負いません。

著者について

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さくら
日本の薬剤師(Licensed Pharmacist, Japan)

薬学部卒。臨床経験13年以上(病院薬剤師2年、調剤薬局11年:面分業薬局・小児科門前薬局・在宅医療を経験)。現在も調剤薬局に勤務しながら、副業として医療系の記事執筆を2年ほど続けています。本サイト「AskJapanPharmacist」は、日本のOTC薬・薬局情報を海外の読者にも届けたいと、新たに立ち上げたプロジェクトです。

得意分野: OTC医薬品の選び方/処方薬の患者向け解説/小児・在宅医療現場の実務知見

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