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日本の二日酔い・乗り物酔い・時差ボケOTCガイド — ヘパリーゼ・ウコン・トラベルミン完全版

日本独自の二日酔いドリンク(ヘパリーゼ・ウコンの力)、乗り物酔いOTC(トラベルミン・アネロン)、時差ボケ対策を薬剤師が解説。米国メラトニン事情と日本側の代替まで整理。

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さくら(薬剤師・医療ライター)
公開日 2026-05-12

日本の二日酔い・乗り物酔い・時差ボケOTCガイド — ヘパリーゼ・ウコン・トラベルミン完全版

「居酒屋の翌朝、頭が痛くてミーティングに出られない…」

「新幹線・船・観光バス。子どもがすぐに気持ち悪くなる」

「LAから来日して3日経つけど、まだ昼に眠くて夜起きてる」

訪日・在日の外国人の方からよく聞く、3つの「日常の不調」です。

実は 日本には、これらに対応するOTCが米国・欧州にはない形で発達しています。代表例が ヘパリーゼ・ウコンの力 などの「二日酔いドリンク」文化と、トラベルミン・アネロン などの乗り物酔いOTC。

一方で、米国読者がよく頼る メラトニン は、日本では取り扱いが大きく違います。

この記事では薬剤師が、3つのテーマをまとめて整理します。


⚠ 最初に:本記事は情報提供であり、医療判断ではありません

成分・剤型・承認効能は2026年5月時点の情報です。最終的な服薬判断は必ず医師・薬剤師にご相談ください。詳細な免責文は記事末尾に記載。


1. 日本独特の「二日酔いドリンク」棚文化

米国・欧州のドラッグストアには、「ヘパリーゼ」「ウコンの力」のような肝臓系ドリンクをまとめて並べた棚は一般的ではありません。完全に同種の製品が存在しないわけではありませんが、日本ほど"二日酔いドリンク"が独立した棚カテゴリとして発達した国は少ないのが実情です。

コンビニ・薬局・駅売店どこでも買えるこれらの製品は、海外読者から見ると「日本独特のジャンル」と映ります。

背景には次のような要因が一因として挙げられます:

  • 飲み会文化(同僚・取引先との宴席)が長らく社会慣行として強かった
  • 漢方・薬膳の伝統で「肝を養う」発想が知られていた
  • 食品・医薬品メーカー(ハウスウェルネス、興和、ゼリア新薬等)が独自カテゴリとして開拓した

ただし注意点

これらの製品は 「第3類医薬品」「指定医薬部外品」「清涼飲料水(健康食品)」のいずれかで、製品ごとに分類が異なります(次章の表を参照)。多くの場合、承認・表示できる効能は 「滋養強壮」「栄養補給」「疲労回復」 などで、「二日酔いを治す」という直接的な効能表示は基本的にできません。位置づけは「二日酔い治療薬」ではなく、滋養強壮や栄養補給を目的とした製品群と理解してください。


2. 二日酔い対策に「使われている」製品の選択肢

ここで紹介する製品はいずれも、法律上「二日酔いを治す薬」として販売されているわけではありません。「滋養強壮」「栄養補給」を目的とする製品が、結果的に飲酒前後のセルフケアに使われている、という位置づけです。

ヘパリーゼシリーズ — 同じブランド名でも分類が3種類に分かれる

「ヘパリーゼ」はゼリア新薬のブランドで、製品ごとに分類が違うため、購入時にパッケージの分類表記を必ず確認してください。

製品 分類 主成分(一例)
ヘパリーゼプラスII 第3類医薬品 肝臓水解物・タウリン・ビタミンB群
ヘパリーゼWドリンク 清涼飲料水(健康食品) 肝臓水解物・ウコンエキス
ヘパリーゼキング 指定医薬部外品 肝臓水解物・L-シスチン・他

それぞれ表示できる効能は分類により異なります(第3類医薬品は承認効能、指定医薬部外品は限定的な効能、清涼飲料水は効能表示不可)。第3類医薬品の承認効能は「滋養強壮・虚弱体質・肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・産前産後等の場合の栄養補給」などで、いずれも 「二日酔いを治す」とは書かれていません

ウコンの力(ハウスウェルネスフーズ)

清涼飲料水(健康食品) カテゴリ。クルクミンなどウコン由来成分が中心です。

医薬品ではないため、効能効果の直接表示はありません。利用者の経験ベースで「飲酒前・飲酒後に飲むと翌朝が楽」と言われていますが、医学的に効果が確定したエビデンスは限定的です。

ソルマック液プラス/ソルマック5(大鵬薬品)

第2類医薬品。生薬と健胃成分の組合せで、承認効能は 「胃のむかつき・胃もたれ・食欲不振」 等。

二日酔いの胃部不快感そのものに対しても用いられることがありますが、効能上は「二日酔い」を直接謳ってはいません。

ハイチオールCプラス2(エスエス製薬)— 第3類医薬品

L-システイン配合。承認効能は 「全身倦怠」「二日酔いの倦怠感」 などを含み、OTCで「二日酔い」を承認効能として記載できる数少ない製品のひとつです。

五苓散(漢方OTC・第2類)

漢方薬「五苓散(ごれいさん)」は 「のどがかわいて尿量が少ないものの、嘔吐、めまい、口渇、頭痛、むくみ、二日酔」 などが承認効能(製品により表現に差あり)で、OTCとして「二日酔」を効能に明示できる数少ない漢方です。

ツムラ・クラシエ・小林製薬などからOTCで販売されています。

黄帝液(佐藤製薬)/チョコラBBドリンク等

ビタミンB群・タウリン・生薬を配合した滋養強壮ドリンクが、指定医薬部外品 として多数流通。承認効能は「滋養強壮・疲労回復」で、二日酔い直接ではありません。


3. 二日酔い後の症状別対処

「飲んだ後の不調」を症状別に対処する場合、より医薬品的なアプローチがあります。

頭痛 → まずアセトアミノフェンを検討、NSAIDsは胃の状態に注意

二日酔いの頭痛には、まず アセトアミノフェン(カロナール/タイレノールA) を検討するのが一般的です。

ロキソニン・イブプロフェン等のNSAIDsは胃粘膜への負担があるため、飲酒後で胃が荒れている状態では避けたほうが無難とされます。胃の調子に問題がない場合でも、空腹時のNSAIDs服用は控えてください。

→ 詳細は タイレノール・パラセタモールは日本では「アセトアミノフェン」

胃もたれ・胸やけ → ガスター10/太田胃散

胃酸過多なら ガスター10(ファモチジン・第1類)、胃の弱りなら 太田胃散 が選択肢です。

→ 詳細は 日本の胃腸薬ガイド

脱水 → 経口補水液を優先、補助的にスポーツドリンク

アルコールの利尿作用による脱水には、OS-1(個別評価型病者用食品の経口補水液・薬局やドラッグストア中心、一部コンビニ)など 経口補水液を優先してください。電解質バランスがスポーツドリンクより脱水補正向きに調整されています。

経口補水液が手元にない場合の補助的な選択肢として、アクエリアス・ポカリスエット等のスポーツドリンクで水分・電解質補給を。

吐き気 → 強い吐き気はOTCで対応薬が限定的

ナウゼリン(ドンペリドン)やプリンペランは 処方薬 で、OTCには直接対応する制吐剤が限られます。続く嘔吐は受診を検討してください。


4. 乗り物酔いOTC

トラベルミン・アネロン・センパアは、いずれも 乗り物酔いの予防・緩和に使う市販薬(OTC) です。「医療用医薬品のトラベルミン配合錠」は別製品(処方薬)なので、本章で扱うのは市販版のみです。

トラベルミン(エーザイ)— 市販版・第2類

ジフェンヒドラミンサリチル酸塩+ジプロフィリン の合剤。日本で最も知られた市販の乗り物酔い薬です。なお同名で 医療用医薬品の「トラベルミン配合錠」(処方薬)も存在しますが、成分・適応が異なる別製品なのでご注意ください。

  • 大人用:トラベルミン1(1日1回・即効性)、トラベルミン(1日2〜3回)
  • 子ども用:トラベルミンファミリー、トラベルミン・ジュニア

眠気が出やすいので、運転前は使えません。

アネロン「ニスキャップ」(エスエス製薬)— 市販・指定第2類

マレイン酸フェニラミン+スコポラミン臭化水素酸塩水和物+他 の多成分製剤。1日1回でしっかり長時間効くタイプで、長時間バス・船向きです。

センパア(大正製薬)— 市販・第2類

メクリジン塩酸塩+スコポラミン臭化水素酸塩水和物+無水カフェイン などが主成分。子ども向けにはセンパアKidsがあります。

メリスロン(処方薬)

ベタヒスチンは 処方薬です。慢性のめまい・メニエール病用で、OTCではありません。市販の乗り物酔い薬の代わりにはなりません


5. 時差ボケ対策と「メラトニン問題」

ここが 米国読者にとって最大の注意点です。

米国の「メラトニン」は日本では同じ感覚で買える製品ではない

米国ではメラトニン(5〜10mg等)が 栄養補助食品(dietary supplement) として広く流通し、ドラッグストアやスーパーで一般購入できますが、日本ではメラトニンは医薬品として扱われ、医薬部外品・健康食品として一般のドラッグストアでは販売されていません。

  • 個人輸入する場合:自己使用の少量範囲では可能なケースもありますが、量・形態によっては 「Yakkan Shoumei(薬監証明)」の取得が必要となる場合があります。事前に最新の厚労省・地方厚生局のガイダンスでご自身のケースを必ず確認してください
  • 量を多く持ち込もうとして税関で止められた事例も報告されています
  • 日本国内処方薬としては「メラトベル顆粒小児用」(メラトニン)が小児神経発達症の入眠困難向けに処方されますが、成人時差ボケ用ではありません

→ 詳細は 日本で処方箋が必要な薬・必要ない薬

日本での時差ボケ対処の現実的な選択肢

(A) 睡眠改善OTC — ドリエル(ジフェンヒドラミン25mg・第2類)

  • 一時的な不眠用。連用は推奨されません
  • 翌朝の眠気・口渇・ふらつきが残ることがあります

(B) 漢方OTC

  • 酸棗仁湯(さんそうにんとう):心身が疲れ眠れないとき向け(第2類)
  • 抑肝散加陳皮半夏:神経の高ぶり由来の睡眠困難向け(第2類)

(C) 生活面でのアプローチ

  • 朝の太陽光を浴びる
  • 機内で水分補給を多めに
  • 到着地時間で食事・睡眠を取る

メラトニンに頼り慣れている米国読者は、来日前に「日本では同じものが買えない」前提で代替プランを準備してください。


6. 米国との制度差・税関ルール

カテゴリ 米国 日本
メラトニン 栄養補助食品として流通(5〜10mg等) 医薬品として扱われ・OTCなし/個人輸入は薬監証明が必要となる場合あり
ヘパリーゼ/ウコン系 流通なし 一般流通、コンビニでも入手可
ジフェンヒドラミン乗り物酔い Dramamine等OTC トラベルミン等OTC(ほぼ同等の使い勝手)
経口補水液 Pedialyte OS-1(薬局・コンビニ)

日本へヘパリーゼやウコン製品をお土産で買って帰ること自体は健康食品扱いなので問題ありませんが、各国の輸入規則は変動するため、帰国先のルールも事前に確認してください。

→ 詳細は 日本で処方箋が必要な薬・必要ない薬


7. 薬局・コンビニで使えるフレーズ集

聞きたいこと 日本語 ローマ字
二日酔いに効く飲み物はありますか? 二日酔いに効くドリンクはありますか? Futsukayoi ni kiku dorinku wa arimasu ka?
乗り物酔いの薬をください 乗り物酔いの薬をください Norimono-yoi no kusuri o kudasai
眠くならないタイプはありますか? 眠くならないタイプはありますか? Nemuku naranai taipu wa arimasu ka?
子ども用はありますか? 子ども用はありますか? Kodomo-yō wa arimasu ka?
時差ボケに使えるOTCはありますか? 時差ボケに使える薬はありますか? Jisaboke ni tsukaeru kusuri wa arimasu ka?

メラトニンを探している米国読者は、「日本ではメラトニンは医薬品で、薬局では売っていません。代わりに何が使えますか?」 と聞くと、薬剤師がドリエルや漢方を提案してくれます。


まとめ:3つの覚え方

  1. ヘパリーゼ・ウコン系は「二日酔い治療薬」ではなく「滋養強壮・栄養補給を目的とした製品群」 — 第3類医薬品・指定医薬部外品・清涼飲料水のいずれかに分かれ、「二日酔いを治す」という直接表示は基本できない
  2. 乗り物酔いOTCは市販で普通に買える — トラベルミン・アネロン・センパアが主流。同名の医療用医薬品もあるので市販版を選ぶこと。眠気が出やすい点に注意
  3. メラトニンは日本では医薬品として扱われる — 米国の栄養補助食品と同じ感覚で買える製品ではなく、個人輸入も量・形態により薬監証明が必要となる場合がある。代替はドリエルや漢方

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出典・参考資料

  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):医薬品添付文書情報
  • 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」「医薬品の分類」
  • 各製品の添付文書・公式情報(ヘパリーゼ各種・ハイチオールC・トラベルミン・アネロン・センパア・五苓散・酸棗仁湯)
  • メラトニン関連:厚生労働省・地方厚生局の薬監証明関連ガイダンス
  • U.S. FDA Dietary Supplements / Drugs@FDA データベース

著者について

さくら:薬剤師・医療ライター。日本のOTC医薬品と外国人読者の医療情報ニーズを専門に執筆。


免責事項

本記事は情報提供のみを目的としたものであり、医学的・薬学的アドバイスを意図したものではありません。本記事に挙げた製品の分類・承認効能・税関ルールは2026年5月時点の情報であり、改正・変更される可能性があります。実際に薬を購入・使用・持ち込みされる前には、必ず最新の公的情報(PMDA、厚生労働省、税関)をご確認ください。本記事の内容を参考に自己判断で行った服薬・治療・持ち込みについて、当ブログは一切の責任を負いません。

著者について

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さくら
日本の薬剤師(Licensed Pharmacist, Japan)

薬学部卒。臨床経験13年以上(病院薬剤師2年、調剤薬局11年:面分業薬局・小児科門前薬局・在宅医療を経験)。現在も調剤薬局に勤務しながら、副業として医療系の記事執筆を2年ほど続けています。本サイト「AskJapanPharmacist」は、日本のOTC薬・薬局情報を海外の読者にも届けたいと、新たに立ち上げたプロジェクトです。

得意分野: OTC医薬品の選び方/処方薬の患者向け解説/小児・在宅医療現場の実務知見

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